ブルーベリー・イチジク・フィンガーライム栽培のプロ3人に聞く!家庭で果樹を育てるコツ
9月19日(土)~23日(水・祝)の5日間、オザキフラワーパークでは果樹の祭典「オザキフルーツパーク」が開催されます。
期間中の9月22日にはフィンガーライムジャパン代表の仲平豊実さんが、9月23日には石黒ブルーベリー園3代目の石黒正良さんと石附農園3代目の石附正志さんが、それぞれ講習会に登壇します。いずれも長年の栽培経験を持つ生産者として、その道を極めてきました。
今回は、家庭で果樹を育てる方が抱えがちな「あるある」な悩みについて、3人に本音で答えてもらいました。それぞれが主力とする果樹との出会いも、あわせて振り返ってもらっています。
主力果樹との出会い、きっかけは?
それぞれの果樹のプロとして活躍する3人も、始まりは決して順風満帆ではなかったそうです。どんなきっかけでこの果樹に出会い、今に至るまで続けてきたのでしょうか。まずはそのエピソードを聞いてみました。
きっかけはテレビ番組、原動力は“悔しさ”だった
| 仲平豊実さん|フィンガーライムジャパン・仲平園芸
シクラメン栽培から国内希少なフィンガーライムの本格栽培へ転身。「フィンガーライムジャパン」を設立し、40品種以上の苗木育成・販売や栽培指導、食のプロ向け高級食材としての普及活動に注力している。 |

仲平さん:
フィンガーライムを知ったのは、14年前に見たとあるテレビ番組です。「果実1個3000円」と紹介されていて、衝撃を受けました。
当時はシクラメンの生産者でしたが、市場に出す仕組みでは良いものを作っても値段に反映されず、一鉢30円の値上げすら厳しいのが現実でした。だったら自分で価格をつけられる果樹を、と栽培を始めたのがフィンガーライムだったんです。
ところが、数年後、購入した苗に品種違いが混ざっていたうえ、東京のミシュラン店で偽物が提供される場面にも出くわしました。
「日本のフィンガーライムを正さないと」。そう決意し、オーストラリアから苗を直輸入。品種を確定し直し、今の形で世に出すまでに10年かかりました。
有名人の一言で、ブルーベリー苗木の販売が軌道に乗った
| 石黒正良さん|石黒ブルーベリー園・石黒シャクナゲ園
同園3代目。シャクナゲ苗木販売から始まり、40年以上ブルーベリー栽培を手がける。木苺・レモン栽培やはちみつ製造、オリジナル用土の通販、果樹摘み取り体験も提供している。 |

石黒さん:
ブルーベリーの栽培を始めたのは、親父の代です。もともと初代は球根、2代目からはシャクナゲ栽培がメインでした。
きっかけは、付き合いのあった埼玉の種苗会社さんからの紹介。シャクナゲに加えて、ブルーベリーも育て始めたんです。
ただ、最初はさっぱり売れなくて……。そろそろやめようかと思っていた頃、みのもんたさんがテレビ番組で「ブルーベリーは目にいい」と紹介してくれたんです。そこから一気に人気に火がつきました。
近くの日帰り温泉で売ってみると、毎回完売。そこから実や苗の販売だけでなく、摘み取り観光にまで広げていき、今では全国各地からお客さんが来てくれるようになりました。
軽い気持ちで育て始めたイチジクが、主力果樹に
| 石附正志さん|石附農園
同園3代目。福祉系大学卒業後、家業存続を機に就農。埼玉での修行を経てイチジク栽培を主力に育て上げる。YouTube「園芸農家イシヅキちゃんねる」でも園芸情報を発信。 |

石附さん:
イチジクとの出会いは、正直、偶然でした。僕は3代目なんですが、18歳のときに父が亡くなりました。それでも当時は継ぐ気はまったくなく、福祉系の大学に進学したんです。ただ、その後長男として育てられた恩もあり、深く考えずに家業に入ることを決めました。
埼玉の問屋で1年半修行して戻ってきたとき、実家には売るあてもなく作られていた庭木や輸入球根が山のように残っていて。それを処分して農場を整え直すだけで3年ほどかかりました。
そんな中にあったのが、祖父が遊びで挿し木したイチジク数鉢でした。軽い気持ちで増やしていったその数鉢が、いまや農園の看板品目に育っています。
最初の1本はこれ。プロが名指しするおすすめ品種
果樹選びで最初に迷うのが、品種選び。せっかく育てるなら、実がつきやすく、手入れしやすいものを選びたいですよね。
3人の答えは明快でした。フィンガーライムは「コレット」、ブルーベリーは「サンシャインブルー」、イチジクは「ホワイトイスキア」。 いずれも「実がつきやすいこと」が理由です。
フィンガーライムは実がなりやすい「四季咲き」を
仲平さん:
おすすめ順に、「コレット」「バイロンサンライズ」「グリーンジャイアント」の3つです。
- コレット…山椒のような香りが強く、実がなりやすい
- バイロンサンライズ…赤い果肉が特徴。しっかり光を当てるほど赤くなる
- グリーンジャイアント…果肉が透明で、実の大きさが際立つ
ポイントは「四季咲き」の品種を選ぶこと。一季咲きだと、実がなる年とならない年が出てしまいます。四季咲きなら一年のうちに何度もくり返し花が咲くので、毎年きっちり実がなります。
ブルーベリーは1品種で実がつくものが、初心者向き
石黒さん:
あえて挙げるなら「サンシャインブルー」です。2品種そろえないと受粉しないブルーベリーの中で、これは自家受粉するので1品種でも実がつきます。花も紅葉もきれいですよ。
とはいえ品種は好みの入り口です。「フェスティバル」など他にも魅力的な品種はありますし、完熟すればどれもおいしいんです。まずは気になる1本から始めてみてください。
イチジクを初めて育てるなら、実つきの良さ&丈夫さで選ぶ
石附さん:
「ホワイトイスキア」です。実つきが良く、木も丈夫で夏の暑さにも負けづらい。皮ごと食べられるうえ、イチジク特有のつぶつぶとした食感は控えめで、すっきりとした味わいが楽しめます。
もう一品種挙げるなら日本のイチジク生産の9割を占める王道品種「ドーフィン」です。栽培情報が多く出回っているので、疑問が出ても調べやすいのが心強いですね。
水やり・植え替え・肥料。果樹の「あるあるお悩み」にプロが回答
家庭での果樹栽培でつまずきやすいのが、水やり・植え替え・肥料の3つ。よく寄せられる悩みに、3人がプロの目線で答えてくれました。
【お悩み1】水やり|「何日に1回」では決まらない
3人の答えは一致。基本は「乾いたらたっぷり」で、失敗の多くは水のやりすぎだそうです。
石附さん:
植物は水が大好きです。ただ、心配で水をあげすぎて根腐れさせる人が多いんです。表面が乾いたかだけではなく、鉢を持ち上げて「重さ」で判断するのがコツ。軽ければ水を欲しがっているし、重ければまだ水分が残っている証拠です。
石黒さん:
子どもは喉が渇いたら自分で水を探しに行くでしょ、植物もそれと同じなんです。乾いてもいないのに水をもらえる環境を作っちゃダメ。「過保護に育てないでくださいね!」と一番に伝えたいです。
あとは、与えた水をきちんと排水できる土かどうか。うちのオリジナル用土は、排水性と通気性にこだわって配合しています。
仲平さん:
フィンガーライムも、基本的には同じ考え方です。ひとつ付け加えるなら、夏場の置き場所。鉢が想像以上に早く乾くので、一日中直射日光が当たる場所より、午前中だけ日が当たり午後は日陰になる場所のほうが、水切れの失敗が減りますよ。
【お悩み2】植え替え|果樹によってベストタイミングが異なる
こちらは三者三様。イチジクは冬、ブルーベリーは秋、フィンガーライムは収穫後か春と、答えがきれいに分かれました。
石附さん:
イチジクは葉が落ちた休眠期、12月頃から2、3月頃にまとめて植えるのが無難ですね。根をほぐす作業があるので、葉がない時期のほうが多少手荒に扱っても失敗が少ないんです。
石黒さん:
ブルーベリーの場合、「休眠期に植え替えましょう」と一般的には言われます。でも、うちは違う。秋に植え替えて年内に根を張らせることが、翌年にいい花を咲かせる一番のポイント。ここだけは譲れません。
仲平さん:
フィンガーライムは、実付き株なら収穫後、そうでなければ春先の新芽が動くころです。逆に避けてほしいのが、気温が下がって土が乾きにくくなる時期。過湿になり、根腐れの原因になります。
今回のイベントで苗を購入される方も、買ってすぐの植え替えは避けて、このタイミングを待っていただきたいですね。
【お悩み3】肥料|「足りない」が失敗のもと
肥料は水と逆で、足りないことによる失敗が多いのだとか。
仲平さん:
フィンガーライムは量より「切らさないこと」が大事です。うちでは一年中、肥料を与え続けています。1本の木に2〜3万個も花が咲くのですが、花芽をつくる11〜12月の時期に肥料が不足すると、雄花ばかりで実になる雌花が咲かなくなってしまう。
そんな「花はいっぱい咲くのに実がならない」のはたいてい肥料不足が原因です。新芽が1年間で1メートル伸びていなければ、肥料不足のサインですね。
石黒さん:
ブルーベリーも、収穫が終わったら伸びた枝を短く切って、お礼肥(花が咲いたあとや実を収穫したあとに与える肥料)を与えるのが基本です。あげ方のコツは、少量ずつ回数を分けて与えること。木が大きくならないのは、たいてい根が十分に張っていないことが原因なので、まずはしっかり根を張らせることに尽きます。
石附さん:
イチジクは、肥料のあげすぎもよくないですが、まったくあげないのが一番ダメですね。「木は育つのに実がならない」という相談だと、逆に窒素分が多すぎることもあります。木の様子を見ながら調整するのが大事です。
もし専門外の果樹を育てるなら、何を選ぶ?
最後に、「専門を離れて、趣味として家庭に1本植えるなら?」と聞いてみました。
仲平さん:
ジャボチカバ(ブラジル原産の果樹)ですね。理由はシンプルに、すごくおいしいから。幹に直接実がなる、おもしろい木なんですよ。
石黒さん:
俺だったら、みかんとバラかな。みかんは今ハウスで育てていて、孫たちが毎年秋のみかん狩りを楽しんでくれているんです。バラは若いころ、東京の園芸会社で研修していて思い入れが強いんですよね。
石附さん:
僕はレモンなどの柑橘系がいいですね。庭で採れた実を唐揚げにきゅっと絞って食べる、そういう気軽な楽しみ方をしたいなと思っています。
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3人のお話に共通していたのは、「果樹を甘やかしすぎない」という考え方でした。水も肥料も、多ければいいわけではありません。果樹の状態をよく観察して、そのときどきに必要な世話を見極めることが、家庭で上手に育てるうえでのポイントのようです。
果樹栽培のプロから学べる!果樹の祭典「オザキフルーツパーク」開催
そんな3人の話を直接聞けるのが、9月19日(土)〜23日(水・祝)開催のイベント「オザキフルーツパーク」です。
- 9月22日(火・祝)10:00〜/14:00〜 仲平さんの講習会「フィンガーライムの世界」
- 9月23日(水・祝)14:00〜16:00 石附さん・石黒さんによるイチジク・ブルーベリー講習会
- 9月23日(水・祝)11:00〜12:00 石附さん・石黒さんによる相談会・販売会(予約不要)
講習会は無料・各回先着50名。事前のお電話でご予約いただけます(空席があれば当日参加も可能)。
苗の選び方や、肥料・剪定のコツなど、それぞれの専門分野を直接聞くことができる貴重な機会です。実がつきやすくなるポイントなど、育て始める前に知っておきたい基本が学べます。
これから果樹を育ててみたい方も、すでに育てている方も、ぜひ足を運んでみてください。
▼オザキフルーツパークの詳細はこちら