少しだけ秋の気配

前回の投稿からまたもや、大変間が空いてしまいました。
猛暑が続いておりますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか、店長の山田でございます。
今年の東京は梅雨らしい日もほとんど無く、6月から真夏のような暑さでしたから、いいかげんうんざりという方も多いでしょう。
8月も後半ですが、予報を見ましてもまだまだ暑さから解放されるのは先のことのようです。

しかしながら厳しい暑さの中でも着実に季節は進んでいて、売り場にもちらほらと初秋を感じさせるものを見つけることができましたので、
少しですが、ご紹介したいと思います。
 白いシュウメイギク。お盆明けの今週より入荷が始まりました。

赤花もありました。

まずは秋を代表する人気の花もの、シュウメイギクです。秋明菊と書きます。古い時代に中国から渡来し日本各地に広まりました。
菊とは言いますがキク科の植物ではなくキンポウゲ科アネモネの仲間です。実はアネモネにも非常に多くの種が存在し、大きく分けて球根をつくり休眠するタイプのもの(切り花でも人気の
いわゆるアネモネはこちらのタイプです。)と、宿根草タイプのものとあります。シュウメイギクはこの宿根草タイプで、もともと日本及び東アジアの気候に馴染んでいるわけですから、非常に育てやすく、日陰の植栽にも向いていますし、ローメンテナンスのガーデン素材として大変おすすめです。耐寒性もあるので、ヨーロッパでも人気でjapanese anemoneとも呼ばれ品種改良も行われています。
これから10月にかけて沢山入荷してくることでしょう。パンパスグラス 学名Cortaderia selloana

続きましてパンパスグラスです。晩夏から初秋にかけて雄大な穂をつける大変見ごたえのある植物です。こういったイネ科の植物の穂を見ると、秋の気配を感じますね。気配というには
存在感がありすぎるかもしれませんが。鉢植えでも育てられるのですが、もしできれば庭植えがおすすめです。ほったらかしで見事な株に生長します。穂は切り花やドライフラワーにも
なります。ススキと同じように葉が細くて鋭いので、手を切らないように注意なさってください。
アルゼンチンからウルグアイなどにかけて広がる、南米の大草原「パンパ」の「グラス(草)」という意味ですが、どこまでも続く大草原にこのパンパスグラスのコロニーが点在している
光景は一度見てみたいものです。

ナンバンギセル 南蛮煙管

山野草コーナーでちょっと面白いものを見つけました。ナンバンギセルの花です。上の画像の株元から生えた赤っぽい、どこかキノコめいたものが本体です。
周囲にあるこの緑の細い葉はナンバンギセルのものではありません。おそらく糸ススキかと思いますが、実はナンバンギセルは寄生植物なのです。
完全に葉緑素を持たず、光合成できませんから宿主の栄養を奪って生きています。ほとんど退化した茎は地中にあり、開花時期に花茎をこのように伸ばします。
画像のものはまだ完全に花が開いておらず蕾の状態です。花が開くとまさにキセルの先のような形で、そうですね、トレニアににているでしょうか...
少しうつむき加減に咲く様が物思いにふける人のように見えて、古語では「思ひぐさ」と呼ばれ、万葉集にも登場します。
ススキ以外のイネ科植物全般、イネ科以外のミョウガなどにも寄生するそうです。
寄生植物というものは不気味な感じもありますが、進化の過程で選び取った奇妙な生存戦略に興味はつきません。

 

なんだか今回は紹介したものに関連性がないと申しますか、とりとめのない感じになってしまいました。あと一月もすればお彼岸です。昨今は10月になっても暑いので
以前のようにお彼岸が秋の園芸作業をする一つの目安とはいかなくなってきている感はありますが、それでも確実に昼の時間は短くなって行き、朝晩は気温も下がりますから、
植物たちはそれを敏感に感じ取って人知れず変化し、気が付いた時には秋の風景になっていることでしょう。

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