ベランダひと鉢から。プロ3名に聞く、初心者が失敗しない果樹の選び方

「ベランダしかないから果樹は無理」「一度枯らして、もう諦めた」──そんな方にこそ知ってほしいのが、ベランダのひと鉢から始める果樹栽培です。
栽培から収穫までを楽しめると人気の果樹栽培。一方で「難しそう」「手間がかかりそう」と、一歩踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、シルバーウィークに開催する果樹の祭典「オザキフルーツパーク」に先駆け、イベントに登壇する3名をお迎えし、「初心者がベランダで果樹を育てるには?」をテーマにお話を伺いました。
登場するのは、園芸系YouTuberのカーメン君、その“公認影武者”こと園芸メーカー・花ごころのカジメンくん、園芸家・レモン研究家の国吉純さん。プロたちの赤裸々な失敗談から、初心者におすすめの果樹や品種、たくさんの実をならせるコツまでをたっぷり語っていただきました。
<プロフィール>
カーメン君
園芸系YouTubeチャンネル『「カーメン君」ガーデンチャンネル』運営。園芸店「ガーデンガーデン株式会社」にて約20年、仕入れや販売を中心に園芸の現場に携わる。2020年に開始したYouTubeチャンネルは登録者約130万人超。植物の育て方や手入れ、害虫対策など、園芸に役立つ情報を精力的に発信中。

カジメンくん
株式会社花ごころ社員。研究開発職を経て、現在は広報・営業を担当。本名は梶田さん。
「カーメン君の公認影武者」という、ツッコミどころ満載でおいしいポジションの持ち主。花ごころの公式youtubeチャンネル(花ごころ園芸チャンネル)に出演しながら、「おうちでイチゴ狩りは夢じゃない」を掲げ、各地でイチゴやレモンの講習会も行っている。

国吉純さん
園芸家・レモン研究家。株式会社ジュリエッタ・ガーデン代表取締役。フマキラー株式会社の園芸ブランド「カダン」の専属アドバイザーを23年間務め、全国で初心者向けの園芸講座を開催。2026年7月に著書『レモンの島 今日もあの味と笑顔に会いに行く』を出版。尾道観光大使も務める。

プロだって枯らすこともある。果樹栽培のよくあるつまずき
いざ果樹に挑戦しても、なかなか実がつかなかったり、枯れてしまったり。「私には向いていない」と諦めてしまった経験のある方も、少なくないはず。
でも実は、第一線で活躍するプロたちも、数々の失敗を重ねてきたのだそう。
── みなさんは果樹を育てる時に、枯らしたりと失敗した経験はありますか?
カーメン君:
僕もたくさんの果樹を枯らしてきましたよ。一番の天敵はコガネムシの幼虫でした。
カジメンくん:
実は私も、ブルーベリーの根っこを5分の1まで食い荒らされ、鉢から果樹がすっぽり抜けたことがあります。どうにか復活させましたが、他にもアゲハチョウの幼虫にレモンの葉を食べられて枯れかけたこともあって…虫の観察は欠かせませんね。
国吉さん:
私はやっぱり、夏の水やりが一番難しいです。レモンは夏の水切れがとても厳しくて、レモンの生産地では夜中に水やりに行くほどなんです。
①水切れ|真夏は朝夕2回が基本
ここからは、初心者が陥りがちな「よくある失敗」について伺いました。
── 初心者の失敗として、よく相談を受けるものは何でしょうか?
カジメンくん:
1つは、「水切れ」です。多くは知識不足が原因で、たとえば真夏は朝夕2回の水やりが必要なことや、1回の量を知らないまま、水を切らしてしまうケースがよく見られます。
とくに近年の猛暑の影響もあり、鉢が小さく土の容量が少ないほど水切れが起こりやすくなります。旅行などで家をあけるときは注意が必要ですね。
国吉さん:
レモンにとっても、夏の水切れは本当に過酷です。私が通う瀬戸内のレモンの島では雨が5日間以上降らないと「畑に散水してください」と島内でアナウンスが流れるほどなんですよ。
── 島内放送まで!そんなに大切なんですね…。水切れへの対策はあるのでしょうか?
カジメンくん:
土の表面をバークチップや水苔で覆う「マルチング」や、保水性のある土を使うのが有効です。長く家を空けるなら、自動灌水装置を活用するのもおすすめですね。
国吉さん:
私は普段から出張が多いため水やりはあえて少なめの“スパルタ形式”にしています(笑)。与えるときにしっかり吸わせて「ごめん、しばらくあげられないよ」という環境に慣れさせています。
カーメン君:
あとは邪道な方法ですけど、受け皿に水をたっぷり溜めておくのもひとつの手です。2〜3日程度の外出なら、果樹は丈夫なのでこれで乗り切れることも多いですよ。
── そんな方法もあるんですね!
カーメン君:
お金も時間もかけたくなければ、この手が使えます(笑)。とくに日差しの強い夏は遮光ネットなどで日陰を作ってあげるのも効果的ですよ。
②害虫被害|植え替えでの除去と予防グッズの活用
── ほかには、どんな失敗がありますか?
カジメンくん:
害虫被害です。とくに怖いのがコガネムシで、一度鉢に入り込むと20匹ほど一気に卵を産むこともあります。夏場に産卵して、孵化した幼虫が翌春に根を食い荒らすんです。
カーメン君:
先ほど話したように、コガネムシはとくにベランダでの鉢栽培で要注意です。地植えなら周りに他の植物や雑草があるので、多少根を食べられても生き残れる。でも鉢植えだと食べるものがそれしかないから、あっという間に枯れてしまうんです。
── プロも恐れるコガネムシ…。対策はあるのでしょうか?
カジメンくん:
対策としておすすめなのが、定期的な植え替えです。植え替えは土の力を回復させるために必要な作業ですが、同時に土の中にコガネムシがいないか点検するチャンスでもあるんですよ。
アゲハチョウへの対策には、そもそも虫を寄せ付けない防虫ネットがおすすめです。
国吉さん:
そもそも卵を産ませないようにする予防も大切です。成虫を見かけたら地面などにスプレーしておくと虫が寄り付かなくなる薬剤もあります。
── 見つけてから駆除するのではなく、予防も重要なんですね。
国吉さん:
虫が出やすい時期は虫の種類ごとにだいたい決まっているので、調べておくと役立ちますよ。とくに春から夏は、虫が活動しやすい時期なので注意する必要があります。
それから、アブラムシが樹液を吸った後の排泄物から病気になることも多いので、虫を防ぐことが病気予防の第一歩。落ち葉などはこまめに取り除いて、家の中と同じように清潔な環境を整えてあげてくださいね。
③暑さ・寒さ|原産地に近い環境を整える
── 水切れと害虫のほかに、気をつけるべきことはありますか?
カーメン君:
暑さ・寒さですね。果樹は基本的に丈夫ですが、種類ごとに耐えられる気温は違います。全国どこでも同じように育つわけではないので、住んでいる地域の気候に耐えられるかは、育てる前に確認しておくと安心です。
国吉さん:
そこでおすすめしたいのが、育てたい果樹の「生まれ故郷」を調べてみることです。
たとえばレモンの原産地はインドの東部辺りといわれています。原産地の最高・最低気温などを調べて、なるべくそれに近い環境を整えてあげることが、枯らさないための第一歩です。
【番外編】実がなかなかつかない場合は?|状態のいい苗木選びがカギ
── 枯れる以外だと、「実がつかない」という失敗もよく聞きますが…。
カーメン君:
「枯れないけど、何年経っても実がつかない」という相談は本当に多いですね。原因は肥料や剪定などさまざまですが、一番大きいのはそもそもの苗木の状態だと僕は思っています。
実は、時間をかければ10年ほどでいつかは実がつくことが多いんです。でも「5年経ってもならない」と悩んでいる方はたくさんいる。育て方だけでなく、購入する時点で状態のいい苗木を見極めることが大切です。
── どう見極めればいいのでしょうか?正直、自分でできる自信がありません…。
カーメン君:
初心者が自分で見極めるのは難しいので、信頼できるお店で買うのが一番です。先日オザキフラワーパークさんにお邪魔しましたが、ああいうお店で買えば安心じゃないかなと思いますよ。
ベランダのひと鉢から。プロおすすめの果樹
── 初心者がベランダで育てるなら、どんな果樹がおすすめですか?
カジメンくん:
レモンは「一家に一本」おすすめしたいくらい、ハードルの低い果樹です。1本で実がなるので、スペースの限られたベランダにも向いています。しかも、ご近所におすそ分けできるくらいたくさん採れますよ。
カーメン君:
柑橘系であれば、キンカンもいいと思いますよ。コンパクトなので、ベランダでも場所を取りすぎません。丈夫で枯れにくく、すぐに実がつくので、レモンより簡単かもしれません。

カジメンくん:
イチジクも丈夫でおすすめです。イチゴやブルーベリーも含めて、私はどれも初心者に挑戦してほしいですね。
国吉さん:
イチジクはベランダでも育てやすいですよね。日当たりをそれほど必要としないので。他にも、岡山の白桃が食べたい一心で、ベランダで育てたこともあります(笑)。

── 変わり種のおすすめはありますか?
カーメン君:
それなら「ジャボチカバ」ですね。幹にブドウのような黒紫色の実がつく珍しい果樹です。味はライチとブドウを合わせたような感じで、めちゃくちゃおいしいですよ。
寒さに弱いので、冬は室内へ。樹形がかっこよく、大きくなりすぎないのも、ベランダ向きですね。
初心者は品種選びが9割。イチゴ・ブルーベリー・レモンの選び方
初心者のベランダ栽培を成功させるには、品種選びがカギになるようです。
ここからは、3名の得意分野であるイチゴ・ブルーベリー・レモンについて、品種選びや育て方を伺いました。
イチゴ|「宝交早生」一択
── イチゴは実がつかなかったり、腐ってしまったり、難しいイメージがあります。初心者が気をつけることは何でしょうか?
カジメンくん:
何よりも大事なのは、品種選びです。初心者には「宝交早生(ほうこうわせ)」を断然おすすめします。あきひめやあまおうなど、有名品種のルーツにあたる存在なんですよ。
イチゴがかかりやすい「うどんこ病」に強く、無農薬でも大量収穫できます。有名品種は病気になりやすく薬剤散布が必要ですが、宝交早生なら手間がかかりません。しかも安い。コスパ最強です。

── たくさん収穫するためのコツはありますか?
カジメンくん:
意識してほしいのは、早めの定植・鉢のサイズ・ランナー摘みの3つです。
まず、苗はなるべく早く植え付けること。イチゴは秋植え・春収穫が基本ですが、栽培期間を長くするほど株(クラウン)が充実して収穫量が増えます。苗が出回り始めたら、早めに植え付けてあげてください。
鉢のサイズは、1株につき8号サイズ、もしくは浅めの10号鉢がベストです。意外かもしれませんが、大きすぎる鉢は向きません。根がぐるぐる回って根詰まり気味になると、株が子孫を残そうとして実がつきやすくなります。
そして3つ目が、ランナー摘みです。ランナーは子株を増やすためのつるですが、収穫が終わるまではこまめにハサミで切ってください。これを切るだけで、収穫量が格段に変わりますよ。
ブルーベリー|暑さに強い「ラビットアイ系」を2本
── ブルーベリーはどう選べばいいでしょうか?
カジメンくん:
ブルーベリーは、ラビットアイ系・サザンハイブッシュ系・ハイブッシュ系という3系統に分かれます。
初心者には、暑さに強く実がつきやすい「ラビットアイ系」がおすすめです。ブルーベリーは基本的に2本以上ないとうまく受粉できないので、同じラビットアイ系の中から、違う品種を2本選んで育ててみてください。

── 育てるときに気をつけることは?
カーメン君:
土選びと水切れ対策です。ブルーベリーは暑さにそれほど強くないので、乾燥するとやられがちなんです。あとは土の酸度でずいぶん育ちが変わるので、酸性の土に植えてあげるのが大事ですね。
レモン|ベランダ向きは「ユーレカ」「ビアフランカ」「マイヤー」
── レモンはどの品種を選べばいいでしょうか?
国吉さん:
ベランダに限って言えば、この3つがおすすめです。どれも実がたくさん採れる品種なんですよ。
- ユーレカ:縦に伸びにくく背が高くならない。実つきも早い
- ビアフランカ:トゲが少なく、樹勢が強い。実がつくのはやや遅め
- マイヤー:まろやかな味で、トゲが少ない。実つきも早い
── 鉢のサイズや肥料で気をつけることはありますか?
国吉さん:
鉢は、購入した苗より一回りか二回り大きなものを選びます。いきなり大きな鉢に植え替えないのがポイントです。鉢の中で根が十分に回ったところで、実がつきやすくなりますから。
肥料は、レモンは比較的多く必要とする果樹です。ベランダなら臭いのない完熟(完全発酵)した油かすや、柑橘専門の肥料を年に4〜5回ほど与えてください。
他言無用のトークも!オザキフルーツパークで会いましょう
── ここまでありがとうございました。最後に、オザキフルーツパークに来場される方へのメッセージをお願いします。
カーメン君:
当日のフリートークでは、普段のYouTube動画では語れない、他言無用のスレスレトークをする予定です。当日会場でお会いできるのを、楽しみにしています。
カジメンくん:
「おうちでできるイチゴ狩り」をテーマに、たくさんの実がつくイチゴ栽培のノウハウを、包み隠さずお話しします。
初心者はもちろん、過去に失敗してリベンジしたい方にも、ぜひ気軽に参加してほしいです。
国吉さん:
レモン講習会では、17年通い続けている広島・尾道のレモンの島の様子や、ベランダでレモンを育てるコツをたっぷりとお話しします。
レモンの活用法など生活の中にレモンがあることで豊かに広がるライフスタイルについてもお伝えしたいと思います。イベントを通してレモンの魅力を楽しんでほしいです。
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園芸のプロたちの、果樹を枯らしたリアルなエピソードが印象的でした。プロでもかつては失敗してきたのだと知ると、「私には難しそう」と諦めていた方でも、肩の力を抜いて挑戦できるのではないでしょうか。
オザキフラワーパークでは、シルバーウィークの5日間で「オザキフルーツパーク」を開催します。今回対談いただいた3名は、2026年9月19日(土)、20日(日)に、各イベントに登壇予定です。
- 9月19日(土)11:00〜・14:00〜|園芸超人カーメン君登壇イベント ※満員御礼
- 9月20日(日)11:00〜・13:00〜|国吉純さんのレモン講習会
- 9月20日(日)15:00〜|カジメンくんのいちご講習会
これから果樹を育ててみたい方も、栽培にリベンジしたい方も、ぜひ気軽にお越しください。
▼オザキフルーツパークの詳細はこちら
https://www.atpress.ne.jp/news/2403634
オザキフラワーパークについて

オザキフラワーパークは東京・練馬区から日本中に園芸文化を発信する、都内最大級のガーデンセンターです。
花苗や観葉植物から珍植物まで、あらゆる植物を取り扱うほか、爬虫類・両生類・熱帯魚などに出会えるアクアリウムコーナー、カフェ「GROWERS CAFE」も併設。まるでジャングルのような空間で植物と生き物の世界をまるごと楽しめる「体験型店舗」として、地域の親子連れから園芸ファンまで幅広く親しまれています。(入場無料)
■ 店舗情報
店舗名:オザキフラワーパーク
所在地:〒177-0045 東京都練馬区石神井台4-6-32
営業時間:9:00~19:00 ※イベント開催時間は各企画の開催概要をご確認ください
定休日:年中無休(1月1日・2日ほかを除く)
アクセス:
・西武新宿線「武蔵関駅」北口より徒歩15分
・吉祥寺駅北口4番のりばより西武バス「都民農園セコニック行き」「大泉学園駅行き」「セコニック経由 新座栄行き」のいずれかに乗車、「関町北四丁目」下車徒歩12分
駐車場:250台完備(高さ制限2.1m・重量制限2t、大型バス不可)・駐車無料
その他
・入場無料
・授乳室、おむつ替えスペース
https://ozaki-flowerpark.co.jp/
公式SNS:
・Instagram:https://www.instagram.com/ozakiflowerpark/
・X:https://x.com/ozakiflowerpark
■ 会社概要
社名:株式会社オザキフラワーパーク
役員:代表取締役 尾崎明弘
創業:1961年3月
設立:1987年5月15日
事業内容:ガーデンセンター運営 / 生花・園芸資材の販売 / 外構・エクステリア設計 / カフェ運営