時計草が咲きました。

前回の投稿から大分間が空きました。皆様いかがお過ごしでしょうか、店長の山田でございます。
梅雨に入り、5月の繁忙期に比べれば余裕が出てまいりましたので、久しぶりに投稿させていただこうと思いました。

当店外売り場には何か所か植栽スペースがありますが、その中の一つの場所で時計草が咲いております。

これは昨年の秋の初め頃、売れ残った苗を植えてみたところ、植栽スペースの背後にあるガビオンと呼ばれる壁面に絡みつきながら旺盛に生長した株です。
昨年は伸びるばかりで一向に花をつけなかったのですが、今年の春先に誘引してツルを剪定してみたところ、沢山の蕾をつけてくれました。
そういえば同じ仲間の果物トケイソウ、パッションフルーツも摘心して子ヅル孫ヅルを出すと実をつけると言われているのを思い出しました。
トケイソウに限らず、朝顔やニガウリなどツルもの一般にはそのような性質があるようですね。

さて果物トケイソウに対しての観賞用のトケイソウは英語でパッションフラワー(passionflower)と呼ばれ学名もそのままpassifloraで「キリストの受難の花」という意味です。
passionには日本人が一般的にイメージするように「情熱」という意味もありますが、語源的には「受難」や「苦しむこと」を意味していたようで、そこからなぜ一般的な「情熱」という
意味に派生していったのか、興味深いなと思います。私も子供のころは何も知らず、熱帯の果物だからパッションなんだろうと勝手に思っていました。「passionate]と「tropical」を混同して
いたのでしょう。子供時代であった80年代はそんな雰囲気もあったかもしれません。「君たちキウイ~」というトロピカルなフルーツが登場する(キウイは決してトロピカルではありませんが)
歌謡曲も流行りました。パッションフルーツという果物の存在を知ったのもその頃ではなかったかと記憶しています。
ところで何故トケイソウから「キリストの受難」が想起されたのでしょうか。昔読んだ澁澤龍彦の「フローラ逍遥」の中で、うろ覚えですが、南米に進出したスペイン人宣教師がこの花を見て印象的な柱頭を十字架と三つの釘に、細い花弁のようなものを茨の冠に、5個ある雄蕊の葯を受難の際にキリストが受けた5つの傷に、巻きひげをキリストを打つ鞭になぞらえたと、そして原住民がこの
トケイソウの黄色い実を食べるのを見てキリスト教に改宗したい証だとしたとありました。ここまで行くとこじつけも凄まじいものだと申しますか、侵略を正当化しようとしたがっていたとさえ思ってしまいます。それと比較するとこの花を見て素直に時計を想起し名付けた感性は素直で好もしく感じられます。漢字で書いた「時計草」という字面、そしてそもそも「トケイソウ」という響きもイマジネーションをかきたて、ある種の爽やかさ、ノスタルジーも感じないでしょうか。

先ほど南米と申しましたが、トケイソウはブラジルはじめ中南米の各地の原産です。熱帯性のものが多いですが、今回画像で紹介したような耐寒性のある種もあります。
こちらはクリアースカイという品種で苗も販売しております。

鉢植えでも結構ですが、もしスペースがあれば地植えをお勧めいたします。

 

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