
皆様こんにちは。やっと少し涼しくなって来ましたが、今回は夏の思い出です。8月の末に休みを利用してベトナムのホーチミンに行ってまいりました。
ホーチミン市はベトナムの南部に位置し熱帯モンスーン気候で、年間をとおして最高気温が30℃以上の常夏の地域です。
行く前から市内にはどんな植物が植えられているのか非常に興味がありましたが、実際に行ってみると、 勿論いかにも熱帯の植栽もあれば、日本と共通する植物を使った植栽もあちこちにあり、なかなか面白かったので一部を紹介したいと思います。
日本でも人気の草花でよく目にした植物をあげると、ニチニチソウ、ジニア、アンゲロニア、センニチコウ、アメリカンブルー、クレオメ、キバナコスモス、トレニアといったところでしょうか。意外にも同じものを使うのだなと親しみが湧きました。ただし日本と違うところは、まず街路樹や公園の木々が全て馴染のない熱帯の樹木ですし、こちらだとツワブキやオカメヅタ、アイビーなどの下草、グラウンドカバー類がいわゆる観葉植物です。当店でも大切に売っているアグラオネマやシンゴニューム、セローム、ゴッドセフィアナ、ザミオカルカス、ディフェンバキア、フィロデンドロンなどが無造作に直接植えられています。カジュアルな一年草の草花と観葉植物が同列に扱われている様子は、日本人からすると不思議な感覚がいたしました。そしてそこにヘリコニアやジンジャーなどのいかにも熱帯の花をつける植物と蓮などがよく組み合わされてました。
おなじみのキバナコスモス。
ごく普通のトレニア。
ブルーサルビア。バックの黄色い花はランタナ。ミニバラと一緒に植えられていました。冬のない地域でバラを育てるとどうなるのでしょう…
ニチニチソウ。熱帯のアジアでよく見かけますが、だいたいこういったごく普通のものばかりで、日本にあるようなものはなさそうです。
花壇に植えられたハイビスカスのポット苗。
クレオメもよく使われていました。日本では最近懐かしい花になりつつありますが、とてもきれいに咲いていたので見直したいですね。
このようにまさに私たちの身近にある花々が使われているのがご覧いただけたのではないでしょうか。ただ、日本は四季がありますから画像の植物が楽しめる期間はだいたい5月から秋の終わりまでとなりますが、ホーチミンのように一年中暖かい地域ではいつ植えてどのくらいの期間見ごろの状態を保つのか、どのくらいの頻度で入れ替えるのか、ガーデニングのシーズンはあるのかということが気になりました。
さてここまでは日本人にも馴染のある草花の植え込みを紹介いたしましたが、次に植物自体はよく知られているけれど、日本人(おそらく欧米人も)にとってはびっくりするような使い方をされていたある植物を紹介したいと思います。
皆様、手前のこの赤い花、お分かりになりますか。そう、ポインセチアです。花と申しましたが正確には笣と呼ばれる葉が変化したものです。ポインセチアはメキシコ原産(熱帯地域ではないですが)で温暖な気候が好きですからホーチミンで地植えができるのは不思議はないのですが、どうしてもクリスマスのイメージしか無いこの植物をこの時期に使うのは感覚が違って面白いなと思いました。そして実にいたるところにあるのです。しかも上の画像では菊ですが、他にもジニアなどの鮮やかな黄色の花と組み合わされていることが多かったです。
ジニアと。奥にはクレオメも。
菊と。手前はトーチジンジャー
ポインセチアの単独植え。足元には観葉植物のディスキディア。
ホーチミンも大商業都市ですからクリスマスの装飾も街中で盛大にされることでしょうが、8月の終わりにこんなにも当たり前のようにポインセチアを使うのはなぜだろうと考えましたが、黄色い花とよく組み合わされるということは国旗のイメージでしょうか… 社会主義のテーマカラーもまずは赤ですしそこに黄色の星や鎌、ハンマーなどのマークがありますものね。そうやって思うとポインセチアの花(笣)の形も社会主義の星に見えてきませんか。
ホーチミンは社会主義体制下とは言え、ドイモイ政策によってかなり経済的に発展しました。街の空気も堅苦しいところは一切なく、いかにも南国のおおらかな雰囲気に溢れています。旅行者も、見たところ現地の方たちにとっても厳しい法の縛りはなさそうでした。それでも街のいたるところに社会主義を象徴する銅像やポスター、旗などが飾られ、それらがブーゲンビレアが絡んだコロニアル建築と、高級ホテルと、ひしめき合うバーと、不思議な野菜や果物にあふれた市場と、バイクの洪水と、熱帯のけだるい空気と混ざり合って、独特なデカダンスが漂っておりました。
さて今回は主に花壇の植え込みについてお伝えいたしましたが、次回は現地で見かけた熱帯の植物を少し紹介したいと思います。
長々とお付き合いありがとうございました。