Vol.1 観葉植物を枯らさないために

モモセ先生こと百瀬謙太郎が、オザキフラワーパークに寄せられる観葉植物の育て方についての疑問に答えます。記念すべき初回のテーマは、「観葉植物を枯らさないコツ」について。サボテンすら枯らしたことのあるあなたでも、きっと観葉植物を愛でるすてきな生活をスタートできます。

百瀬 謙太郎

植物好きの祖母からの影響で、グリーン業界へ。造園業などを経て、2015年からオザキフラワーパークで観葉植物を担当。とりわけ好きな植物はユーフォルビア。 

Q:いつも植物を枯らしてしまいます。なぜでしょう……。

モモセ

まず、育てる植物の出身地を調べましょう。出身地の環境を再現するように心がければそうそう枯れないものです。 

──ふむふむ。たとえば原産地が高温多湿なら「水を切らさない、低温にしない」とかでしょうか?

モモセ

その通りです。砂漠みたいな日差しの強い乾燥地帯に生きる植物であれば、しっかり自然光があたる明るい場所に置いてあげます。逆に熱帯雨林に生えている植物であれば、直射日光は避ける。強い日差しにさらされると、真っ白に焼けてしまいますからね。

──なるほど。植物にも愛情をもって接することでしょうか。

モモセ

鋭いですね! 人と接するのと一緒で、植物と自分とのちょうど良い距離感をつかむのがポイントです。「世話焼きの僕には、手間がかかる植物が向いているな」「ものぐさな私には、放任でもOKな子がいいな」とか。理解を深めれば深めるほど、植物との共同生活は豊かになります。

──なんだか深い気がする!

モモセ

本当にわかってるのかなあ……(笑) 

Q:そもそも枯れてしまう一番の原因はなんですか?

モモセ

理由には、大きく分けて「水やり」「温度」「置き場所」の3つがあります。なかでも一番大きな要因は「水やり」です。あげ過ぎたり、足らなかったり。枯れる理由の半分ぐらいが、水やりに起因しますね。 

──あげ過ぎもダメなのですか?

モモセ

そうです。サボテンなんかは水をあげすぎると枯れちゃいます。サボテンを枯らすほど世話好きの方には、シダやエバーフレッシュがおすすめですね。水やりや霧吹きなどでの、こまめなメンテナンスが必要ですから。 

──ここでも植物と自分との相性が大事なんでしょうね

モモセ

育てる方のキャラクターは、植物の生育を大きく左右します。でもご安心を。ズボラな方でもしっかり育てられる植物もありますから。 

──よかった。諦めて帰るところでした。

モモセ

(笑) 小まめなケアをする余裕のない方には、ドラセナ・コンパクタがおすすめです。この子は日当たりが悪くても枯れないし、水を多少やりすぎても根っこを出してくれる非常に丈夫な植物です。もうひとつはポトスかな。メジャーな植物ですが、この子も丈夫で枯れにくいですからね。 

モモセ先生が手に持っているのがポトス。右がドラセナ・コンパクタ。

Q:枯れかけた植物を復活させる方法はありますか?

モモセ

う〜ん、簡単ではありませんが、枯れた原因がわかれば対処方法はあります。ちなみに一番多い上に、復活させるのが難しいのは、水のやりすぎで根腐れを起こしているケースです。 

──あー、それ僕もやってしまったことがあります

モモセ

水やりを一旦休止して、土を乾かしましょう。それで根が再生してくれば復活させられます。ただ、気温が低いと再生する可能性はぐっと下がります。 

──そもそも、不調をあらかじめ察知することはできないものですか?

モモセ

落葉、葉の変色、新芽の枯れなど、不調の初期のサインを見逃さないことですね。ちなみに植物が弱っている冬場などには肥料はあげないでください。人間でいうと胃腸が弱っているときにステーキを与えるようなものなので。

──ふむふむ。かえって体調を崩しかねませんね。じゃ、代わりに何をあげればよいでしょう。

モモセ

ミネラルなどの成分が入った活力剤がいいですね。これは栄養ドリンクやサプリのようなものです。ちなみにステーキ(肥料)は春夏の成長期にあげてください。


健康な植物の葉(左)と、根腐れを起こしている植物の葉(右)

Q:枯らさないよう季節によって注意することはありますか?

モモセ

夏や冬は、温度と日光に注意してほしいですね。

──寒さ、暑さ、日差しを気にする人間と同じですね。

モモセ

そうです。基本的に、熱帯植物は常温だと日本では越冬できません。冬になったら必ず部屋の中に入れてあげてください。また、繰り返しになりますが、夏場の強烈な日差しは葉焼けの原因になるから、直射日光が当たらないところに移動させましょう。そうすれば、植物たちもよろこんで長生きしてくれます。

──ふむふむ。それこそが、植物からの恩返しですね。

モモセ

たしかに(笑)。そもそも「自分の部屋にはこういうジャンルの植物が合っている」が、ある程度わかってくると枯らすことはグッと減ります。そうなると植物とのすてきな生活は、もっと身近なものになっていくでしょう。いずれにせよ美しい植物を迎えたら、たっぷり愛を注いであげてくださいね。

 結論:植物は愛だ。

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