「おはよう」の景色で今日もがんばれる。──IT企業勤務・茶置貴秀さんインタビュー
IT(情報技術)業務と聞くと時代の先端をいく洗練されたイメージがありますが、その反面、和やかさや有機的なものとはかけ離れた印象を持っていませんか。でも、だからこそ植物の力を手掛かりに、心地よさを追求する人たちもいらっしゃるのです。さてコロナ禍におけるリモートワークは、植物とともにどんな日常を送っているのでしょうか。
茶置貴秀さん
都内のIT企業で不動産開発業務のプロダクトマネージャーとして活躍。最近は自社プロダクトでのグリーンの取り扱いにも興味津々だそう。近隣の園芸店はもとより、オザキにも月1回は来店するというヘビーユーザー。初めて買った植物はフィカス・ベンガレンシス。
キッカケは、この部屋で暮らしはじめたこと。
オザキからクルマで約40分。閑静な住宅地の一角に、茶置さんファミリーが暮らすマンションがあります。通されたリビングルームは、大きな掃き出し窓からやわらかな光が差し込む明るい空間。その一方の壁を背景に、大小さまざまなグリーンが勢ぞろいしていました。ちょっとオザキのフロアの一部を、切り取ったみたいな景色です。
このご時世、そして IT(情報技術)という仕事がら、世間の事務系職種同様、茶置さんも勤務日の半数はリモートワークなのが現状だそう。いわゆる「おうち時間」が増えたことから、コロナ禍によってグリーン愛に拍車がかかったのは確かだといいます。
自宅で仕事をするなら、ワーキングスペースは心地よいほうがいいに決まってる。PCの画面からふと向こうに目を移せば、お気に入りのグリーンたちがご機嫌な様子でそこにいるなんて、まさに理想的です。
「あれ? この子、水切れしてるんじゃないかなとか、すぐ気づくじゃないですか。そうしたらぱぱーっと水やりしています。こんなふうに(笑)」
といいながら普段と同じように、キッチンのシンクで水やりレスキューするさまを見せてくれる茶置さん。
植物と触れ合う一瞬のリフレッシュタイムを経ることでますます仕事がはかどるという、とても合理的なシステムが茶置さん式快適リモートワークというわけです。
ところで、茶置さんが植物に惹かれたキッカケは? とお尋ねしてみると
「もともと興味があったんですが…… この部屋に引っ越してきたことですね」と茶置さん。
転居したばかりの新しい部屋のよそよそしさを払拭したり、くつろぎ感や和みを得るために、観葉植物を利用するのはよくあるテクニック。それは、自分と新しい暮らしとの関係をいち早く密接にするためのノウハウでもあります。たったひと鉢のグリーンがもたらした効果は絶大だったのでしょう。
「もうひと鉢、さらにもうひと鉢と買い求め、あれよあれよというまにこうなりました(笑)」(茶置さん)。
さらにグリーン効果は、和みだけではとどまらなかったとのこと。
「朝、ベッドルームからリビングルームに向かって最初に目に入る景色がこれなんですけど、朝日がこうパーッと射してきて植物たちがほんとうにきれいなんですよ。その光景を見ると『今日もがんばろう!』という気持ちになれるんです。」(茶置さん)。
家族を巻き込む楽しみかた
茶置さんにはふたりのお子さまがいらっしゃいます。元気いっぱいのお子さまとグリーンはどんな関係性? お子さまのいる家庭では、ちょっと気になる事案ではないでしょうか。
「やっといい意味で無関心になってくれましたかねぇ(笑)」と茶置さん。もっと小さなころはやはりイタズラもあったけれども、最近はいい距離を保てるようになったと目を細めていました。
並んでいる植物の鉢をひとつひとつ見ていくと、とても個性的なペインティング鉢が。
「これは上の子どもが描いたんです。無関心とはいえ、こんなふう植物と関わってくれるのが嬉しくて」(茶置さん)
当たり前のようにたくさんのグリーンに囲まれて育つお子さまが、なんだかうらやましくなります。パパと一緒に植物の手入れを楽しむ日も、きっとそんなに遠くないはずです。
グリーンあふれるリビングルームのところどころで、挿し色のように目に留まるアースカラーや花の色。ドライフラワーのオブジェや瑞々しい生花が飾られて、グリーンのなかでさりげないアクセントになっています。
「ドライフラワーは僕たち夫婦の故郷である広島在住のアーチストによる作品です。それから生花も絶やさないようにしてるんです。ちょうどこれは昨日買ってきたカーネーション。ピンクが明るくていいなと思って。」(茶置さん)
ハンギングに挑戦
そんな茶置さんが最近トライしているのが、ハンギングだそう。枝垂れる樹形のグリーンがふえてきたこともあって、ディスプレイするならやっぱり吊るし技となったわけです。
DYIで天井にバーを取りつけ、いろいろ楽しんでいる様子。似たものが隣合わないようにしてみたり、高さを変えてみたり。お陰で毎朝の部屋の風景が、一段と趣きのあるものになりました。「置く」に加えて「吊り下げる」アイテムが加わることで、一層空間に広がりが感じられます。お店のディスプレイも参考になってるのかもしれません。
家族をまんなかに、さまざまな形で植物が取り囲む茶置さんファミリー。不安定な時世が続くけれど、この部屋にはあふれんばかりのハッピーがありました。そして、幸せな場所にはやっぱり植物の存在。ここでもやっぱり、植物の力を感じずにいられません。
* 茶置貴秀さん Instagram
https://www.instagram.com/ciao.tak/
編集:ozaki flowerpark
文:ウチダトモコ
写真:今祥太朗