Vol.3 自分で自分の完成品を作ろう!
モモセ先生こと百瀬謙太郎が、オザキフラワーパークに寄せられる観葉植物の育て方についての疑問に答えます。今回は、鉢栽培では欠かせない「植え替え」について。本当に「欠かせない」作業なのでしょうか。だから教えて、モモセ先生!
百瀬 謙太郎
植物好きの祖母からの影響で、グリーン業界へ。造園業などを経て、2015年からオザキフラワーパークで観葉植物を担当。とりわけ好きな植物はユーフォルビア。
Q :買ってきた植物は、そのまま育てていいんですよね?
モモセ
答えは「YES」と「NO」が半々かな。
── といいますと?
モモセ
お店で売ってる植物は、黒いビニールポットや白いプラスチック鉢が多いじゃないですか。自分で選んだ鉢に植え替えて、置き場所のインテリアにマッチさせたくないですか?
── それはそうですね。部屋のなかでビニールやプラスチックの鉢が妙に浮いてしまったりするし。
モモセ
お気に入りの植物もお気に入りの鉢も、それだけではまだ材料だから。両方が合わさって初めて、自分だけの完成品ができあがるんです。
── わかりました。着替える鉢選びも楽しそう。凝り出したら、これも奥が深そうですね!
モモセ
見た目だけじゃないですよ。実はお店にある時点ですでに鉢土は使い古されてしまっていることもあるんです。植物がお客様のところに行ったら、植え替えてもらえる前提で出荷されていると考えるとよいかも。
植替えは、土増しをすることで、植物が育って新たに根を張れるスペースを作ってあげる、という意味があって、見た目だけじゃなく、植物が育つために必要な作業なんです。
── なるほど。その前提だからこその、ビニールポットや無骨なプラスチック鉢なんですね。
モモセ
植え替えにあたって、注意しなければいけないことがもうひとつあります。
── むむ? それは、なんでしょうか!?
モモセ
それは時期の問題。観葉植物は暑い時期と寒い時期は植え替えに適さないんです。誤った時期に植え替えすると、プロでも枯らしてしまうこともあるんですよ。
真夏は、暑すぎて植物が弱りがちなので、植え替えしないようにします。
寒い時期も同じです。寒さで生育が停滞していますので、寒い時期も植え替えは控えます。
真夏を除いた4月下旬~9月下旬がいいですね。
── なるほど。熱帯植物でも真夏は植え替えNGなんですね。で、「YES」のそのまま育てていい場合って??
モモセ
ひとつは今お話しした、植え替えNG時期の場合。それからもうひとつ、すでにおしゃれな鉢に植えられていて、しばらくはそのまま飾れるように販売されている完成品の場合です。どっちにしても植え替えたほうがよいかどうか迷ったら、お店のスタッフに尋ねてみてくださいね。
Q :植え替えってどうやるの?
モモセ
では実際に植え替えてみましょうか。
── おお! それは見てみたい! ぜひお願いします。
モモセ
はい。こちらポトスです。前回も紹介したとおり、初心者でも育てやすい代表的な丈夫な観葉植物です。今回は特に斑入りがきれいな ‘ マーブル・クイーン ‘ という品種をを選びました。あとは植え替える鉢と鉢底ネット、土を用意します。
── 土……園芸店に行くといろんな土が売ってるじゃないですか。実はどんな土を選んでいいか、わからないんですよね。
モモセ
市販の「観葉植物の土」で十分ですよ。もし可能なら、それに赤玉土の小粒を2割程度ブレンドすればバッチリ。さらに鉢底に敷く鉢底石か赤玉土の大粒を用意してください。
Q :根っこについた土がボロボロ落ちて心配!
モモセ
ハハハ! 植え替えは、今現在植わっている土を交換する意味もあるので、心配しなくて大丈夫ですよ。実際の植え替えプロセスはこんな感じ。
── なるほどー。目にも鮮やかにチャチャッと植え替えられましたけど、実際やったら難しそうだな(汗
モモセ
大丈夫! 何回か経験することで上手になりますよ。そして植え替えが楽しくなってくる。はず(笑)!
── プラスするとよいマル秘ポイントってありますか?
モモセ
プロセスの2の後、アセフェート粒剤などの殺虫剤を適量まいておくと、アブラムシなどを防除できます。いわゆるオルトランDX粒剤などが有名かな。
── あ、発生前に予防線を張っておくってことですね。大事かも!
モモセ
ハイ、大事です(笑)。それからプロセスの6の後、仕上げとして土の表面に赤玉土小粒を敷いて化粧しておくと、整って美しく見えるんです。実は赤玉土で化粧しておくと鉢土の乾き具合が赤玉土の色の変化で一目瞭然っていう便利さもあるんです。コレ豆知識な!